河馬と賽子と私と The Hippodice and I |
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普通に考えればゲームというのは遊ぶ物なのであって、作る物ではないということになるとは思うのですけれど。でも作るという行為もこれはこれでなかなか悪くないところがありまして、いろいろと仕組みを考えて頭の中で動かしてはあれも駄目だこれも駄目だ、でやっとそれなりに回りそうな体系ができあがって実際にパーツ組んで作って遊んで、それでこれが絶望的に詰まらなくて、ってあまり楽しそうには聞こえない気がしますが楽しいのですよ。嘘ではなくて。特にボードゲームとなると、他の創作に比べて「実際にパーツ組んで作って」の部分にはそれほど負担がかからないことが多いので、まあ手軽と言って言えなくはないかな、と。 それで、作りましたできましたテストプレイしました問題ないみたいです完成です、そのあとどうしましょうということになりますが、ここから先が意外とどうしようもなかったりするわけです。会社起こして売るのもちょっと非現実的な感が漂いますし、同人で数十部作るにしても自分でカードからゲーム盤から全部同じ物を延々と複製し続けるわけで、面倒には違いない。そういう理由でわたくしと致しましてはとりあえず形になったらルールだけこっそりとサイトに載せてあとは無かったことにする、という大変ぞんざいな方式を採用し続けておりました。 さすがに自分でももう少し人として真っ当な処理方法は存在しないものかと考えまして、そこで浮上したのが「ゲーム会社だか賞だかに送りつけてみる」という方法。それで実際に試してみましたところ、この処理方法はまあまあ悪くないのではないか、ということが解りましたので、ここでご紹介する次第です。 ということで具体的な話に移りますと、 Hippodice Spieleclub (http://www.hippodice.de/) という団体というか要するにゲームサークルが、年に一回ほど創作ゲームのコンペティションを "Wettbewerb fuer Spieleautoren des Hippodice Spieleclub e.V." の名前で開いています。応募ゲームは毎年 150 程度。上位入賞ゲームは商品化される場合があるようで、例えば Chinatown(alea), Kontor(goldsieber) あたりは元々このコンペから出てきたゲームです。
このコンペのスケジュールは、今年の場合は大体次のような感じになっています。 一次選考は、ルールとゲーム概要だけで行います。従って応募段階ではルールと概要しか送りません。ともかく、一次選考で応募ゲームを 50 くらいまで絞り込みます。一次選考を通過したゲームの作者には、「一次選考に通過したのでゲーム本体を送るように」という通知が届きます。二次選考は Hippodice のメンバーが実際にゲームで遊んで批評を下すという形になります。 50 のゲームを三ヶ月かけて審査するわけですから、充分な期間が取られていると言って良いでしょう。 そして二次選考を通過したおおよそ 10 作ほどのゲームが最終選考にかけられます。この最終選考は、ゲームメーカーの人を七人とか八人とかくらい呼んできて行います。そして最終選考結果であるところのランキング付けを行う、という仕組みです。また、最終選考に届かなかったゲームのうち、そこそこよろしい感じだったゲームを別に 10 ほどリストアップして、これも一緒に「割と悪くなかったゲームのリスト」ということで発表されます。 重要なことは、これは The Games Journal 誌に書いてあったことなんですが (http://www.thegamesjournal.com/articles/Hippodice.shtml) 、二次選考まで行ったゲームに関しては、 Hippodice の人々による「自分のゲームの評価・批評・感想」が貰えるらしいということ。ルール公開だけとかだとそもそも遊んでもらえることなんて殆どありませんし、同人で売ってもきちんとした形で感想なり批評なりのフィードバックが帰ってくる機会というのはそう多くないのではないかと思います。 そういうことで、「一次を通れば、ということは3割くらいの確率でフィードバックが帰ってくるのかー。それは素晴らしい」と、試しに応募してみることにしました。なお、送ったゲームは、「創作」のほうで紹介している「造形家倶楽部」とゆうゲームです。 さて、どのようなゲームなら応募してもよいのか、ということなのですが。オリジナルなゲームであり、まだ商業的に出版したことがなく(同人でも 100 部以上刷ってたら不可。というか 100 部以上刷ってるかどうかで商業と同人の境界線を引くということです)、どこかのゲーム会社に持ち込んだりもしていないゲームならば OK 。その他の制限として、一人が応募することのできるゲームは一年につき二つまで、というものがあります。 (「造形家倶楽部」はこの条件は満たしているので別に問題ないのですが、ルールを web 上に公開しているというのがちょっとグレーになる可能性が無いとは言い切れないということで、万一を考えて一応コンペ中は非公開ということにしました) ということで応募を行います。応募に必要な物はというと、とりあえず2002年版の場合、
さて、上に挙げた四項目のうち最初の三つについては、英語が面倒とかそういうことを除けば別に問題ないと思われますが、少々引っかかるのは最後の一つで、日本の郵便局にはドイツの切手など売っていないのですね。そりゃそうですけど。代わりに何が売っているかというと「国際返信切手券」というもので、これを封筒に入れておくと、受け取った人が自国の郵便局に持っていけば郵便局側で切手(国際のエアメールで手紙が出せる一番安い値段の切手、だったと思う)と換えてくれます。ただこれ、仕組みから言って返信用封筒に貼るわけにはいきません。とはいえそんなことを言っても仕方ないので、ここでは普通に国際返信切手券を、返信用封筒には貼らずに同封しておくことにしました。 ところで。ルールについては、もう出来上がってしまっていることが前提ですからあとは英語で書けばよいという話なのですが(厭なら誰かを金で釣って書かせるとか。どうせルールブックなんて大した文字数じゃないし)、ゲーム概要となるとどう書いた物かちょっと困ってしまいます。せっかくですので、ここではすっかり困ってしまった、しかも企画書とか書いたことのない人が実際にどのようなものを書いて出したのか、実例を挙げてみることにします。このコンペに参加してみようという方は参考にしないでください。「企画書の書き方」みたいな系統の本を参考にしましょう。
これで一頁目の半分くらい。残り半分はゲーム用具の羅列です。二頁目はゲームの流れをルールブックから抜粋して書いています。つまり、「フェイズ1、テーマを選ぶ ◇ 誰かが単語を一つ決める(形容詞のみ)。この単語がラウンドのテーマになる」「フェイズ2、作品を作る ◇ リーダーがタイマーを開始させ、そしたら全プレイヤーが作品を(テーマに合った物を)作る。制限時間一分間」といった具合。これを最終のフェイズ7まで並べていくと、二頁目が完全に埋まります。 写真用のページには、全体のレイアウトとひとつと、粘土細工を三つほど載せました。粘土細工のほうには、「どっちの粘土細工が『モダン』だと思いますか?」というキャプションと「これは『南の』ものを作りたかったんですが、六十秒だと短すぎたみたいです」というキャプションを付けました。 で、英語で書いた原文を何故全部載せないかというと、まだ最終結果発表前で載せて良い物かどうかわかんないという面もあるのですが、それよりも choose とすべきところが choise という謎の単語になっていたり、 marker と書きたいところで maker とか書いていたり、なかなか今見返してみても味のある文章になっていてちょっと恥ずかしくなってしまったというところが大きかったりします。というか、だれか校正・検閲をやる人が一人くらい別にいたほうがいいと思いました。 それでも一次選考を通過できるのだから語学など壁にあらず、ということなのですが、その一次選考通過メールがなかなかの曲者で、十二月の確か八日に届いた手紙、まずドイツ語です。合格したのかどうか、翻訳機にかけないと解りません。さらに、その手紙にはゲームの送り先とか締め切り日とか書かれているのですが、この設定日時が相当無茶なことになっています。 曰く、十二月十三日必着。不可能です。 国際スピード郵便を使えば何とかなるかも、とも思いましたが、小包にはコンペ参加料金として 10 独マルク相当のユーロ紙幣、プラス、向こうからこっちにゲームを送り返すための送料(後述)を同封する必要があります。つまるところ保険付きの小包(←高い。今確認したところ、ドイツ宛航空便 750g で 3750 円)でないといけないということになります。民間運輸業者のサービスが無いわけでもありませんが、恐ろしく高いのでここではパス。 ということで何をするかというと、 Hippodice 側に「遅れるけどごめんね」と電子メールを打つのでした。こんな感じに。
ちなみに返事はありませんでした。 ともあれ、一次選考を通過した場合、向こうに送るゲームの梱包を行わなければいけません。ここでいくつか注意があります。ほんとは向こうが送ってきた独語原文も一緒に載せようと思っていたのですが、せっかくコピーまでして取ってあった筈がたいへん不思議なことに無くなっていまして、しょうがないのでうろ覚えで書いていきます。皆様におかれましてはあまり信用せずに、一次選考通過通知をお受け取りの際は原文を頑張って読んでいただきたく。
小包のタグの書き方に関しては郵便局の人に聞けば教えてくれるはずなのでたぶん問題ないでしょう。「保険付き小包」というマイナーな商品を扱っている郵便局はあまり多くないということにはご注意ください。タグの中の書くべき欄のところに「内容物の詳細な記載」というところがあって、これはどう書いていいものかちょっと迷いましたが、とりあえず「 "Board Game (prototype)", "Cash (US$15.00-)" 」としました。キャッシュというのは参加料金と返送料金のことです。 そしてその返送料金。これって日本の郵便局で聞けば教えてくれるんでしょうか。どうもあまり期待できないので自分で調べることにします。 ドイツの黄色い郵便局 Deutsche Post http://www.postag.de/ から、 Produkte & Preise に飛び、 Paket 欄の International の列、 Paeckchen と書かれているところをクリックすると、小形郵便物の送料が書かれたページに出ます。ヨーロッパ内料金と世界料金と二つありますが、日本はヨーロッパではありませんので世界料金のところを見ますと、 9.71 EUR と書かれています( 2002 年 5 月現在)。ということで、この値段が最低料金です。但しこれは船便、 2 kgまで、小包サイズも「 15cm x 11cm x 1cm 以上、縦横高さ合わせて 90cm 以内、但し一辺の長さが 60cm を超えないこと」という限定がかかっています。サイズについては守ればいいだけの話なのでどうでもいいのですが、重さは場合によっては引っかかるかも知れません。でも 2kg 超えるゲームなんてそれほど多くはないと思いますが。 船便だと遅すぎるので航空便で送って欲しいという向きは、 Paeckchen ではなくてそのすぐ下にある Paeckchen/Services を選んでいただければ、 Paeckchen の追加サービスの一つとして、欧州外世界への航空便 Luftpost Welt という項目があります。ここに、 "bis 1000g: +8.69EUR", "ueber 1000g: +17.38EUR" とか書いてあります( 2002 年 5 月現在)。なおここで bis は「〜まで」、 ueber は「〜以上」の意味です。この追加料金を支払えばきっと航空便で運んでくれるのでしょう。僕は船便ぶんの料金しか用意しなかったので詳しいところは解りませんが。( Paeckchen の一個上の項目で Pluspaeckchen というパック料金があって、そこには 20.40 EUR で箱代と 2000g までの航空便送料が込みで賄えるとか書いてあったりするので、もしかすると全然違うのかも) 2kg 以上のコンポーネントを作ってしまったひとは、 Paeckchen ではなく Postpaket を選択します。小形じゃない通常の小包郵便です。そうすると、四つのゾーン( EU 、その他欧州、北アメリカ・中東・北アフリカ、その他世界)のそれぞれにつき料金が出ていますので、「ゾーン四・その他世界」のところに書かれた、 ueber(kg):0 / bis:4 / Preis (EUR):32.98 と書かれた表を見て、たぶん 32.98 ユーロでいいのだろうという見当をつけることになります。さすがに 4kg 以上のコンポーネントは作らないでしょう。その他オプションについては各自でチェックしてみてください。僕はもう疲れました。 そしてドイツへの小包は「ユーロ・マルク同封禁止」という鉄の掟が存在する(実録メールオーダー第二回参照)ので、同封の際はアメリカドルに変換する必要があります。為替差損や、郵便料金が期間中に値上がりする可能性などを考えて、お金はちょっと余計めに( +$2 くらいかな?)包みましょう。 ということで、荷物を送ってしまえばあとは待ってるだけ。十二月に送って結果が帰ってくるのが四月中旬。つまるところ既に結果は帰ってきてるんですが、一応は向こうの結果発表までは喋ってはいけないことになってるのかなってないのかそれすらよく解らないので、続き(結果通知とゲーム評価レポート。評価レポートはゲームと一緒に船便で返送されてくるということで、まだ帰ってきてません)は追記として後で書くことにします。それではまた。 翻訳機は例によって Altavista/SYSTRAN (http://world.altavista.com/) を使用しました。 追記 (Aug28/2002) 実は結果が六月の頭には既に出ていたのでした。何故気づかなかったのかというと、本家 Hippodice のサイトには結果発表が全然載っていなかったからです。 Brett and Board に載っていたのを(http://www.brettboard.dk/depot/award/hip02.htm)今頃になって発見しました。でまあ結果ですが、上記URLの通りで、最終選考には進んでいません。「二次で落としたけど悪くはなかったゲームのリスト」のほうに名前が挙げられております。
送ったゲームが帰ってきたのは8月頭でした。で、感想とかが書かれた紙が入っているかというと、なぜだか入ってない。何故でしょう。 ところで。さっき挙げたBrett and Boardにおける「造形家倶楽部」紹介文に you will loose point if too many gamers like your work!とあるんですが、僕の作ったゲームにそんなファクターありました? |
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